いちばん危険なトイレといちばんの星空、は、いいよ

いちばん危険なトイレといちばんの星空という本を読んだ。

この本は、石田ゆうすけさんという人が、7年半かけて自転車で9万5000キロ世界を回った記録だ。まずはタイトル、とてもうまいですな。トイレと星空なんか出されると期待度が限りなく大になる。カバーも星空を撮った黒いやつで目立ってました。

自転車旅行記というのは20代前半の頃は読んでいたが、その後読んだことがほとんどなかった。私の場合は、自転車→山になり、植村直己から中公文庫(昔は山の本が多かった)を読むようになって、山小屋でバイトというパターンである。

大体その年代はカネはないが限りなく暇なのでそういう本を読んでそういうことをやるものだったような気がする。エコロジーがどうたらという思想的な背景があるわけでなく、ともかく知らないところに行って変わった経験をしてみたいという気分に支配されているのだ。

山の本を読む効用は、安眠が約束されることだろうか。○○北壁登攀記などという本を読むと、吹雪の中、壁面に吊り下げられたツェルトでビバークのシーンなどがたいていある。こういう話は読んでいて興奮するのだが、自分は布団の中でぬくぬくしながら読んでいるのである。自分の身の幸せを感じる瞬間である。

記憶に残る自転車関係旅行本なら数年前に中央大学の先生になった九里徳泰(くのりのりやす)さんの本を読んだくらいかも・・・。旅行記は出発から帰国までの話をずっと書いていくからなんとなく中身が想像できて飽きてしまうような気がしていた。

しかし、この本、面白かった。出版社は実業之日本社というビジネス系かしら?というところなのだが。旅行は非日常を味わいに行く行為だから、帰ってきた人に聞くのも面白い話なんかないかなということになる。

この本は、それを逆手にとって、自転車で世界一周してきた著者が語る「世界一」シリーズである。私の好きな順に適当に並べるが、世界一美人の多い国、世界一うまいビール、世界一メシがうまい国、世界一危険なトイレ、世界一キツイ便所、世界一危険な通り、などなど・・・。

著者が語る30の世界一からなる本。この方文章もうまいし、賢い人なのだろう。ちなみに世界一美人が多い国は、エストニアだそうだ。

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