自転車で遠くに行きたい

米津さんが自転車の本を出した。河出書房新社から出たばかりの「自転車で遠くに行きたい」という本だ。米津さんはミクシィで自転車で遠くに行きたいというコミュを主宰しているのだが、こちらは1万人以上のメンバーがいる。

自転車に乗っている人は、もともとサイクリングの趣味があった人以外、たいてい健康問題対策(!)という目的を持っているのではないか。実際のところ、街で見かける自転車乗りの年齢層は高い。おっさんばっかりだ。オレもおっさんだ。

自転車を買って走り始めると、最初は、その辺を走っているだけで満足し、そのうちサイクルコンピュータなどをつけるようになると遠出するようになる。遠出すると本当に空腹になるし、のども渇く。普段の生活ではなかなか味わえないことである。メシがうまいし、ビールもうまい。体調もよくなる。これを何度か経験すると遠出したくなってくる。いや、遠出せずにはいられなくなってくる。都会の自転車乗りにとって、100キロ走るというのが一つの壁のようなのだが、100キロなら普通の体力の人なら5時間もあれば走れてしまう距離だ。

メタボ対策で自転車に乗っているなら、走行距離でいろいろ逡巡している方が多いかもしれないが、それならこの本はおすすめである。是非読んでみてほしい。

今はブログを丹念に検索していけば体験談を読むことは簡単にできる。それはとてもよいことなのだが、自転車に乗れなかった人が乗れるようになる過程を書いてあるようなブログは多分ほとんどない。今長い距離を走る人も、もともとはそうではなかったのだ。ずっと記事を遡れば長く走るようになるきっかけを読むことができるかもしれない。しかし、この辺はブログを読むよりは編集された本を読んだ方が早い。そういう意味で、この本は親切な本だし、著者の人柄のよさが伝わってくる。親切な人なのだ。

私は150キロも走れば満足するタイプなのだが、米津さんは200キロ、300キロ、400キロと刻んでいって、600キロまでブルベで走っている。糸魚川までのレースも走っているし、距離感が「壊れた」人になっている。距離感が壊れると腰痛持ちの私は困るのだけど、この本は、東京に住んでいる40代の自転車に乗り始めた人にはおすすめの本である。

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