長岡先生の授業が聞ける高校数学の教科書

やっと「長岡先生の授業が聞ける高校数学の教科書数学」が終わった。10月から始めて、なんだかんだやらない時期もあったのだが、半年近くかかった。この本、大人の学び直しには最適ではないかと思う。

本文は、980ページ。そのほかに解答が582ページPDFでついている。また、著者の長岡先生の音声講義が、MP3で106時間ついている。これは付録のDVDディスクに入っている。しかも価格が4200円+消費税と安い。

問題数は、PDF別ファイルに入っている章末問題を除いて、例題と問題と演習で枝問をカウントして数Ⅰ215題、数A148題、数Ⅱ432題、数B170題、数Ⅲ250題、数C166題の合計1381題ある。

大人が学び直しをするとき、分からない時に教えてくれる人はいない。そして数学は、それぞれの分野が独立しているように見えても、数Ⅲの微分積分に向かって準備して行っているようなものなので、分からないから飛ばして後でやろうというのは、気分的にも実質的にもよくないのだ。

だから、出てくる問題が分からない、理解できないまま先に進むことはできないのだが、この本は、解答が丁寧である上に、長岡先生の音声解説までついている。両方の解説に助けられて、理解できないということはなかった。

高校生の頃、数研出版の教科書を使っていたので、最初、現行の数研出版の教科書を買ってやろうかと思っていたのだが、そうしていたら、きっと理解できないところが出てきて挫折しただろうなと思う。

考えてみると、私はそもそもは数学は好きだったし割と得意だった。高校で数研の教科書と緑チャートとスタンダードという名前だったかの問題集を始めてからあまり面白くなくなったのだ。

昔はチャート式は緑と赤しかなかった。チャート式は問題数が豊富で、緑でも完璧にできれば相当な実力がつくように思う。何がよくないかというと解説があまり丁寧でないのだ。

それとチャート式は、公式をどう導いてくるかなんてことにはほとんど神経を使っていない。広い範囲の問題を網羅しようという参考書だった。数研の教科書もあっさりしたもので、長岡先生の教科書に比べたら不親切なものだったように思う。

この記事は案外見ていただいているようなので、書き加えるのだが、もし、チャート式が好きになれないようなら、まずはこの本に出てくる問題を疑問なく解決することができるようにすると基本的な力は十分につくような気がする。数Ⅲの積分の分量が少ない気がしないでもないが、他の本で補完すればよいのだ。

今どき、こんな親切な本はないと思う。著者の長岡亮介先生は、駿台予備校で長く教えていた方だそうだ。

この本は教科書だから、公式や原理といったものの理解が中心だ。公式を自分で導けるように編まれているのが分かる。大人になると分かるが、本当はこういうことが重要なところだ。自分が高校生の頃には軽視していたところかもしれない。

なぜ数学をやり直そうかと思ったかというと、物理をやりたかったからだ。30代の初めに就いた仕事は、物理が分からないとかなりつらい内容だった。それがずっと心残りになっていた。物理には微分積分が必須であるから、実は併行してやっていたのだが、すぐに微分積分をすっからかんに忘れていることが分かって数学を先行してやることにした。

旺文社には、中学から「英和中辞典」、受験生時代に原仙作の「英文標準問題精講」と「英文法標準問題精講」にお世話になった。原仙作の「英文標準問題精講」は古めかしいがとてもよい本で、これを我慢して全部やれば英語の力が確実につく。大学に入っても英語の成績はいつもAだった。

旺文社がまたこんなよい本を大人向けに出してくれるとは思わなかった。どうか、「長岡先生の授業が聞ける高校数学の教科書」が、長く広く支持される本になりますように。

長岡先生の講義を聞くと、「はい、ここで余白にこんなことを書いておいて下さい」とか「ここは、アンダーラインを引っ張っておきましょう」などといってくれるのだ。

さらに追記:

この記事を書いてから1年半経った。今は時間を見つけて5周目をやっている。1周目によい本だなあと思ったが、今ははっきりよい本だと断言できる。受験生には旧課程、新課程の違いがあるかもしれないが、大人には関係ない。もし、私のような文系出身の大人が高校生の数学からもう一度学びたいなら、この本が一番いい。

この本をやりながら、新しく出る大人の学び直し本を本屋であれこれ立ち読みしたが、みんな大したことはない。

最近、大人の間で教科書が少し流行っているが、数研出版の教科書解説本をやるくらいなら、この本をやった方がいい。公式導出の話がこってりしていて、大人向きなのだ。この本をやると、次に何をしようかという気になる。

やり直しをする大人は旧課程も新課程も関係ないが、現役の高校生や受験生は、新課程の本を使わなければいけない。

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