多摩川サイクリングロードは全長55キロあり、往復すると100キロ走ることができます。自分のペースでまとまった距離を走ることができ、下流と上流ではかなり違う景色を楽しむことができます。羽田から奥多摩までご案内しましょう。
多摩川サイクリングロードの魅力
多摩川沿いに走る多摩川サイクリングロードは、羽田空港近くから羽村阿蘇神社まで約55キロの長さがあります。通称「多摩サイ」と呼ばれています。
多摩川サイクリングロードを走る魅力は、なんといっても止まらずに長い距離を走れること。信号がありませんからずっと走って行けます。
羽村まで往復すると100キロくらい走ることができる
私の家から、阿蘇神社を往復すると90キロ。足を伸ばして奥多摩駅を往復したら140キロになります。(阿蘇神社から奥多摩駅までは国道です)
羽村から奥多摩駅までは、片道25キロあります。
また、たとえばこんな走り方もあります。多摩サイを上流の終点の羽村までいって下流の羽田まで往復して、もと来たところに戻って来るのです。そうすると110キロ走ることができます。
私は、左岸(東京側)ばかり走っています。自転車ブームのピーク?だった2005年頃はロードに乗った私のような「おっさん」がたくさん走っていましたが、今はその頃に比べたら少なくなったように思います。
多摩サイは歩行者やランナー、野球少年もたくさんいるので、高速走行はできません。しかし、LSDには最適なコースだと思います。脂肪を燃やすには最適なコースです。
起伏がほとんどなく走りやすい
多摩サイには起伏がほとんどありません。とても楽に走れます。坂道が好きな人は満足できないかもしれません。羽村を越えて奥多摩駅まで行くと、奥多摩駅は標高が400mありますから少し登ります。
多摩サイには坂はありませんが、その代わり向かい風が吹きます。風は朝晩で方向が変わりますから、上流に向かってペダルを漕ぎながら、「行きは向かい風だから帰りは楽できるな」なんて思っていたら、帰りも向かい風になることがよくあります。
そして、夏は気になりませんが、秋から冬にかけては気温差があります。羽村はかなり冷えますから防寒対策をしておかないと風邪をひくかもしれません。
私は水以外の補給なしで走ります
私は多摩サイを走る時は、できるだけ補給なしで走ります。基本的に飲み物は水だけ。食事をする場合は、まとまった距離を走ってから食べるようにしています。空腹感を感じながら走るのはなかなかよいです。空腹感はじき慣れてしまいます。
しかし、途中で甘いものを食べたり飲んだりすると話は別です。血糖値の関係だと思いますが、ガマンできないくらい空腹を感じるようになります。
この状態を超えるとハンガーノックになって目の前に星がちらついて気分が悪くなったりしますから、くれぐれもご自分で調整してくださいね。
多摩川の河口、羽田から二子玉川まで
多摩サイの起点は、羽田空港国際線ターミナルそばの堤防の上にあります。
こういうのアンカーっていうのでしょうか?0.0Kって書かれていますね。
(記事:多摩サイ羽田~穴守稲荷~第一京浜~武蔵小山44キロ)
しかし、私はいつも弁天橋付近を羽田の終点にしています。みんな何となく数キロ先の羽田空港に着陸する飛行機を眺めるポイントです。
ここは、そばにトイレも水道もあり、助かります。
羽田に向かって何度も走っているとどんどん飛行機が好きになってきます。
羽田空港は拡張していた国際線ターミナルも完成して、自転車さえ置くことができれば、展望デッキに行って写真を撮ったり、食事もできる楽しい所です。私もたまに行くことがあります。
国際線ターミナルは、人が少なくて写真は撮りやすいです。
しかし、空港で飛行機を撮るのはあまり面白くありません。間近に着陸して来る、迫力があるところを撮りたいものです。
着陸する飛行機を撮るなら川崎の浮島町公園へ
そんな時は、少し足を伸ばして、大師橋を渡り、左折して川崎の浮島町公園まで5キロ弱。ペダルを漕いでいくと寒い季節にはこんな着陸風景を撮ることができます。
いつも飛行機写真マニアがたくさんいます。
だいたい、秋から冬は川崎沖から降下してきます。しかし、風向きによって変更されるので、事前に、flightradar24で現在の着陸ルートが川崎の浮島町公園を通るか確認してから出かけた方がよいです。
私はこのソフト(アプリ)を知らない時に、キャノンの重たい白いレンズを担いで行って2回悔しい思いをしました。
浮島町公園に行くまでは工場地帯ですから、工場萌えの人にもよい場所です。
川崎大師もすぐ近く
東京側から大師橋を渡って、右折するとすぐに川崎大師があります。初詣は大混雑するようです。毎年1月中は自転車では近寄れないくらい混雑します。
少し寂れているとはいえ、とても長い商店街があり、往時の賑やかさがしのばれます。
仲見世では、トントコ包丁で切るデモンストレーションをしながら飴を売っています。たまにこんな道を歩いてみると楽しくてよいですよ。
川崎大師に寄り道しても、来た道を戻らなくても、川崎駅近くから六郷橋を渡れば東京側の多摩サイに戻れます。
(記事:駒沢公園~多摩サイ~大師橋を渡って川崎大師46キロ)
池上本門寺にもいってみよう
第二京浜が通る橋、多摩川大橋あたりから多摩サイをおりて、池上本門寺にも行ってみましょう。池上は本門寺の寺社町だったんだなと思います。
(記事:駒沢公園~羽田~池上本門寺55キロ)
境内はかなり広いです。
(記事:駒沢公園~多摩サイ~羽田~本門寺55キロ)
丸子橋から二子玉川までは丸子川沿いを走る
多摩川河口から東京側を上流に向かって走ると、こんな面白い撮影ができる場所もあります。向こうに見えているのは、武蔵小杉のビルです。
(記事:駒沢公園~多摩サイ~羽田55キロ)
丸子橋あたりで、舗装路が途切れます。
私は、ここからは丸子川沿いに走って、二子玉川を抜けて駒澤大学の玉川校舎あたりからまた多摩サイに乗ります。丸子川沿いは、国分寺崖線と呼ばれていて、湧水が出ているところもあります。なかなかよい道です。
二子玉川の先、世田谷区宇奈根から羽村まで
これは駒澤大学玉川校舎横から多摩サイを下流に向かって撮った画です。向こうのビルは二子玉川のビルと高層マンション。
(記事:3年ぶりに羽村阿蘇神社往復105キロ)
走り始めると、すぐに東名高速道路をくぐり、小田急線和泉多摩川駅まではすぐ。それを越えれば、もう調布市です。このあたりは一度視界が開けて、奥多摩の山がよく見えます。
(記事:多摩川サイクリング羽村~国分寺~井の頭通り98キロ)
何だか距離感というか感覚がおかしくなりそうですが、調布の隣は府中です。焼肉をいつもやっている公園のそばには、サントリーのビール工場があるのですが、残念ながら一度も見学したことがありません。
府中の大國魂神社
府中にある大國魂神社は是政橋から道なりに府中の街に向かって走ると行けます。
(記事:井の頭通り~吉祥寺~国分寺~府中62キロ)
もう消えてしまったけど、昔から多摩川を走っている人ならご存知、「クルクル回せ」
(記事:多摩サイ~羽村往復93キロ)
府中を越えたら国立で中央高速道路をくぐって、すぐにJR中央線と立川の多摩モノレールが見えてきます。このあたりまでで、自宅から30キロ。
(記事:駒沢公園~羽村阿蘇神社往復101キロ)
福生の「多満自慢」石川酒造
立川を過ぎると、昭島、福生を経由して羽村に着きます。福生には「多満自慢」の石川酒造があります。
蕎麦屋さんとイタリアンレストランがあり食事もできます。売店もあり、一度ここから後輩のお祝いに日本酒を送ったことがあります。
「嘉泉」の田村酒造場
また、もう一軒、嘉泉という銘柄のお酒をつくっている田村酒造場もあります。こちらは敷地内にお店がないのかと思っていましたが、展示販売を行っているようです。
(記事:3年ぶりに羽村阿蘇神社往復105キロ)
多摩サイの終点、阿蘇神社
羽村の阿蘇神社周辺は、とても感じのよい集落です。いつもこの辺に住んだらどんな生活になるんだろうと思います。
阿蘇神社のそばから水を引いて、用水路には鯉がたくさん泳いでいます。水車がある蕎麦屋さんは、うどん屋さんからカフェになったようです。カフェの前は田んぼ。
そして、多摩サイ終点の阿蘇神社。何年か前から自転車お守りも置くようになりました。ひのきの匂いがする静かな境内です。
いつもここが終点。あと25キロ頑張ることができれば、奥多摩駅まで行けます。
羽村から奥多摩駅まで
阿蘇神社から奥多摩に行く時は、少し先に行って多摩川橋を渡り、吉野街道を走ります。青梅街道を走るより交通量が少ないような気がします。
ここからは軽い登りになります。奥多摩が近づくにつれ、蕎麦屋さんが増えてきます。手打ちは当たり前、十割蕎麦もあります。あちらこちらで食べましたが、一番好きなのは、ことぶき
吉野街道は、古里(こり)で青梅街道に合流し、そこから奥多摩駅に向かってまた登りです。しかし、大したことはありません。
奥多摩に行くといつもわさび漬けを買います。これもあちこちで買って試しましたが、一番辛くてうまいのは鈴木山葵農園のもの。
だいぶ前に氷川トンネル手前のお店がなくなりましたが、今は奥多摩駅と御岳駅に売店があり買えます。
わさび漬けは日本酒に合うので奥多摩に限らず、いままで相当買っていますが、ここのが一番うまいです。
(記事:多摩川サイクリング奥多摩駅140キロ)
そして、奥多摩駅到着。初めて奥多摩駅に行ったのが、2002年9月でしたが、それから駅前のお店がどんどん寂れていっているのが気になるところです。
今は登山ブームで、登山客は増えていると思いますが、お店の跡継ぎがいないのでしょうか。
(記事:多摩川サイクリング奥多摩駅140キロ)
多摩川は、山梨県と埼玉県の県境にある笠取山の南斜面にある「水干」(みずひ)から始まります。多摩川沿いを走り始めたらきっと多摩川の最初の一滴を味わってみたいと思うようになるでしょう。私も行ってみました。
多摩川の最初の一滴を飲みに行く
しかし、水干に行くにはアクセスがよくありません。私は山梨県の塩山からタクシーを使って笠取山の取り付きまで行きました。
水干から羽田空港付近の河口まで全長134キロ。源流を見てから改めて河口に行くと、いかに水が汚れていくのかよく分かります。
水干(みずひ)
もちろん、水干の水は飲めます。話のタネに一度行ってみるとよいですよ。
(記事:多摩川源流に行って来た)
多摩川サイクリングロードには何でもある
初めて多摩サイを走ろうという人は、どんなものを用意すればよいのかと思われるでしょう。多摩川を羽田から羽村まで往復すると110キロあります。走っていると暑いのか寒いのか、何をもっていけばよいのかなどいろいろ考えてしまいます。
しかし、多摩サイを走る時には心配はいりません。ジュースの自動販売機はあちこちにあります。また、水を飲みたいなら、水道もあちこちにあります。
トイレの心配はしなくて大丈夫
真夏でなければ、ボトルは1本あれば十分でしょう。そして、トイレもたくさんあります。おまけにほとんどトイレットペーパーつきです。しかも、意外ときれいです。お腹の調子が悪くなっても大丈夫です。
私が走り始めた2002年頃は、多摩サイ沿いにコンビニが2軒ありましたが、現在はありません。しかし、多摩サイから少し外れればすぐに見つけることができると思います。
また、何か食べたいと思った時も、多摩サイから少し外れて走ればなにか見つかります。今は皆さんスマホを持っていますから、食べログやグーグルマップで探せばすぐ近くの店が見つかると思います。
10年前は、小さな冊子になった地図を持って走ったものですが、今はとても便利な時代になりました。
多摩川サイクリングロードを走る前に準備するもの
最低限の工具とヘルメットとサングラス、奥多摩まで行くときは万が一のために輪行袋があると便利です。
替えのチューブとポンプに最低限の工具
長い距離を走る時に、一番考えられるアクシデントはパンクです。走っている時にパンク修理はめんどくさいので、予備のチューブを2本持っているとまず大丈夫です。
もちろんポンプ(空気入れ)とタイヤレバーも忘れずに。
チューブ交換だけはできるように練習しておいた方がよいです。私は、初めてパンクしたときにチューブをタイヤのビードにはさんだまま気づかずに空気を入れてしまい、チューブが破裂してしまいました。
また、めったにないことですが、突然ネジが緩むといけないので、3、4、5ミリの六角レンチを持っているとよいでしょう。
これらを入れるためにボトルケージに挿すツールボックスを用意すれば背負わなくてすみます。
ヘルメットとサングラスは必要
昔、サイクリングでヘルメットをかぶっている人はいませんでした。私も初めはかぶっていなかったのですが、自転車同士の衝突を一度見てから、かぶるようになりました。
2003年頃は2万円近くしたものですが、最近、山を歩く人もヘルメットをかぶるようになったせいか、ずいぶん安くなりました。私は価格が割と安くて品質がよいモンベルが好きです。
また、川のそばというのは光が乱反射しているらしく、かなり日に焼けます。もちろん紫外線は目にもよくないですから、サングラスは必要です。私はできるだけ色の入っていない透明に近いものを選んでかけています。
なぜかというと、レンズが暗い色だと瞳孔が開いてしまい、その状態でも横から光が入ってくるので目によくないと思っているからです。もう一つ、サングラスをかけていると、虫や砂ぼこりが目に入らないのでよいです。
昔はとても高かったけど、最近は、ユニクロに行って2000円も出せばUVカットの透明なレンズがついたサングラスを買えるようになりました。
ライトは絶対に必要です
そして、ライトは絶対に必要です。多摩サイには街灯がありません。無灯火で走るのはとても危険です。自転車同士よりも、歩行者にぶつかります。
歩行者はたいていライトを持っていません。光に反射するような蛍光色の衣類も着ていません。だからライトはできるだけ明るいものを買うのがよいです。今はUSBから充電する明るいライトもあるようです。
私は前輪をシマノのWH-3N71-Roadというハブダイナモ付きのロード用ホイールにしていましたが、今年新しいロードを買ったので、単三2本使用のLEDライトを買いました。
しかし、ハブダイナモ付きホイールはとても便利なので、いずれショップオリジナルのをどこかで買う予定です。
輪行袋があると分解して電車に乗れます
また、特に奥多摩まで行くときには、輪行袋があると安心できます。自転車のボトル・ゲージに挿すことができるタイプのものがほとんどだと思います。探せばだいたい5000円程度で入手できます。
OSTRICH(オーストリッチ) の輪行袋は、昔(少なくとも1980年代)からよく知られています。使用する時はエンド金具も必要ですのでお忘れなく。
輪行袋があれば、天気が悪くなったり、体調が悪くなったり、万が一自転車が壊れたときも分解して持って帰ることができます。
さあ、これで準備OK。多摩サイに出かけましょう。
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