クレーメルを聞きに行くのは3年ぶりだ。2012年もサントリーホールで聴いた。前回はシューマンとベートーベンとモーツアルトの協奏曲3曲だった。
いつもほぼ満席なのに、今回は私が買ったC席はともかく、全体として2/3埋まっていたかどうか。グラモフォンから出したニューシーズンズがあまり売れていないのだろうか?
クレーメルはいわゆる現代音楽も意欲的に出している。今回はグラモフォンからNew Seasonsが出て、タワレコで聞いたら何だかよくて買ってしばらく聞いていた。ECMからもいろいろ出ている。音はいつもとてもよいが、私にとっては聞きにくい曲が多いのであまり買わない。ECMのだと、Bach: The Sonatas and Partitas for Violin Soloが気に入っていてかなりの回数聞いている。
今回のグラモフォンのCDがよかったので前売りを買いに行ったら、C席4000円がまだ残っていた。前回、2012年の公演の時は、B席とC席はすぐに売り切れてしまい、A席11000円を2枚買った。
本日の公演のもう一つが、指揮の公開マスタークラスというのはサントリーホールだからかな。
いつもは正面で聴いているが、今日はステージの後ろ向かって右側である。いつもと違って反響音だけじゃなくて弾いている音が大きめに聞こえてくる。これは新鮮だった。正面で聴いていると反響音の方が大きいのかまとまった音として聞こえてくる。コントラバスの低音は、ステージの床で共振しているように聞こえた。(そんなことないのでしょうが)
後ろ向きとはいえステージに近かったので、演奏している人たちの動きがよく見えた。毎回感じるが、クレーメルの演奏中の体のゆるゆるぶりはすごい。時々、口を半開きにして弾いているくらいだ。日本人だったらこんな弾き方をしていたら先生に怒られるだろうなあ。そして弓を自在に扱っている感じで、すごく小さい音のコントロールまでぶれない。
クレメラータバルティカは若い演奏家の集まりだからなのか、ここまで体が自由にゆるんで弾いている人は他にいなかった。
曲目は
ラスカトフ:≪四季≫からのダイジェスト(チャイコフスキー:「四季」op37aによる)
フィリップ・グラス:ヴァイオリン協奏曲第2番「アメリカの四季」
梅林茂:日本の四季(委嘱新作)
ピアソラ:ブエノス・アイレスの四季
今回のメインの曲は、なんといってもヴァイオリン協奏曲第2番「アメリカの四季」だ。これはNew Seasonsにも入っている。ミニマルミュージックになるらしい。ミニマルミュージックは繰り返しの音楽なのだが、グラモフォンの宣伝がYouTubeにアップされていたのでこちらを見て下さい。(5分くらいから「アメリカの四季」の一部演奏)ミニマルミュージックは聴き始めると耳に残るのでしばらく癖になる。この曲 は2009年に作曲されたみたいだ。独特の緊張感がある同じフレーズの繰り返しの中で、クレーメルのバイオリンだけが歌っているという感じだった。40分くらい休みなしで続く。
演奏者はステージに向かって左の舞台袖から出入りするのだが、反対側に座っていたからその中がよく見える。曲が終わると、タオルと水を持った人が待っているが、拍手が続いている間は中に入っても汗をふいたり水を飲んだりしないでそのまま戻ってくる。なかなか律儀な人だ。
休憩時間、ホールの通路を一周しながら写真を見て歩いたが、ドゥダメルが毎年のようにサントリーホールで指揮している。知らなかった。それにしても昨年のウイーンフィルだと一番安いD席でも13000円ですか・・・。
後半の梅林茂さんの曲は、ああ日本だなあという曲だ。この方は若い頃ロックバンドでギターとドラムをやっていたのだそうだ。
最後にピアソラのブエノスアイレスの四季をやったが、アルゼンチンタンゴなので、はっきり空気が変わった感じがした。久しぶりにピアソラを聴いた。1996年にクレーメルが初めてピアソラのカバーCDピアソラへのオマージュ
を出した時は、ピアソラ五重奏団に比べて演奏が固いなあと思ったが、あれから20年、なんだかんだ聴いているうちにクレーメルの方が好きになった。ピアソラのは、ライヴ・イン・東京1982とミルバが歌っているライヴ・イン・東京1988くらいしか聞かなくなった。
身体の技を見せられると、とても刺激を受ける。普段の生活でもペンを握って字を書いたり、体を使ったりすることは四六時中やっているのだが、精度とはあまり関係ない。単なるオートマチックでやっているので大して疲労しないが、楽しみも得られない。
何気ない動作に精度の物差しを入れることができたら、多分頭がものすごく疲労すると思うが、神経はピッとしてよい影響があるだろうなあ。
自転車でやせたい。多摩川・駒沢サイクリングダイエット日記
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