アユ百万匹がかえってきた―いま多摩川でおきている奇跡

アユ百万匹がかえってきた―いま多摩川でおきている奇跡という本を読んだ。小学館から出ている本で、いまどき1500円しない本なのだが、読むのにはタップリ時間がかかった。ちなみに私は本を読むのが速い方だ。著者の田辺陽一氏はNHKの現役ディレクターで、多摩川に関する番組制作の中で得られた話を本にまとめたものだ。

私が多摩サイを初めて走ったのは、ロードを買って1ヶ月半後、4年前の盆休みだった。夏だったのでどうせ汚くてクサイだろうと思って正直まったく期待していなかった。ところが行ってみたら思っていたよりもずっときれいだったのだ。それが印象に残っている。

笠取山で多摩川源流の水を飲み、河口の羽田空港沖で汚い川の水を見ると、誰でも気持ちが少し暗くなる。そして「失われた自然は取り戻せない」などという環境保護団体がよく使う台詞を思い出すのだ。著者もこんな汚い川としか思っていなかったそうだ。ところが、多摩川にはアユが100万匹も遡上するようになっていたということを知って、著者はその理由を調べるようになった。アユは清流に棲むというイメージがあるからだ。

多摩サイの終点、羽村には取水堰があり、そこから玉川上水に水が送られる。玉川上水が造られたのは、江戸時代三代将軍家光が参勤交代制度を始め、江戸の人口が増えたためだそうだ。その後も東京都は玉川上水の水を利用していた。ところが1957年(昭和32年)に小河内ダムが完成し、小河内ダムで一度貯水してから水量調整しながら放流、それを羽村で取水して東京都の浄水場に送る仕組みができた。

この仕組みは、放流した水を羽村ですべて取水してしまう(現在はちがう)ものだったので、羽村より下流は、汚水の川になってしまった。

その後、美濃部都知事の時代に大規模下水道整備を行い、多摩川に流れ込む汚水が水質管理されるようになった。一度は洗剤の泡だらけになっていた多摩川も、こうして徐々にきれいになりつつあるのだ。川は十分な水量があり、汚水の水質管理がされていればひどく汚れていても復活させることができる可能性があるという話だ。

アユは必ずしも清流でなければ棲めないわけではないということも分かったのだが、アユをキーワードにして、水源から河口まで魚の棲めるきれいな川を取り戻すための方法を知るレポートになっている。多摩川はその最先端の川なのだそうだ。この本は、書かれるまでに相当な時間がかかっているだろうなあ。

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